ここ何ヶ月か、文字通り不眠不休で走ってきたので、せっかく書いたSSもなかなかアップ出来ませんでしたよよよ……。
そんなわけで、ようやくアップできます。マカロニウエスタンBLマンガ
『ガンレイヴン―荒野の黒き翼―』(作画:おきた香奈先生。サムネイルクリックで配信サイト一覧記事にに飛びます)のおまけSSです。
おまけSS、ホントはもっとちょくちょくアップしたいなー。需要があるかどうかはともかくw
あと、昔企画から関わっていろいろやった
『姫と林檎にくちづけを』という乙女ゲームがあったのですが、これも時間見つけて何かちょこちょこ書きたいなあと思ってはいます。
ゲーム自体はもうプレイ出来ないのが残念なのですが、自分の中ではずっと彼らは生きているので……。
そんなこんなでおまけSS②、お楽しみいただけると嬉しいです(^o^)
『トウモロコシの海の中』
時田シャケ
黄色、黄色、真っ黄っ黄。
オレは今、トウモロコシの海の中。あっちを見てもこっちを見ても、辺り一面トウモロコシだ。
「あぁ、しょうがねえなあ、坊主」
笑いながらトウモロコシをよけてくれているのは、ニールじいちゃん。旅の途中で腹を減らして、道端でうずくまっていたオレを拾ってくれた、物好きなじいちゃんだ。
「えへへ。だって楽しいじゃん」
じいちゃんはオレを拾ってくれただけじゃなくて、メシまで食わせてくれて、ベッドで寝かせてくれて、それからトウモロコシの刈り入れ時期だからって雇ってくれた。
すげーイイじいちゃん。
それから、じいちゃんの奥さんのケイトばあちゃん。料理がめちゃくちゃうまい。ばあちゃんが作ってくれたのを飲んで、初めて豆のスープがうまいと思った。
いいじいちゃんとばあちゃんに拾ってもらったオレは、ラッキーだ。
「大方、欲張って下から取ろうとしたんじゃろ」
「ちぇ」
当たってる。じいちゃんは何でもお見通しだ。ちょっと照れくさい。
「なあ、カイルや」
じいちゃんは、床に転がっているトウモロコシを二三本拾い上げた。
「……別に、ずっとここにおってもええんじゃぞ」
「うん……」
「お前さんがいてくれると、わしもばあさんも助かるでな」
それもいいな。っていうか、すっごくいいな。
毎日じいちゃんを手伝って畑に出て、帰ってばあちゃんを手伝ってメシ作って。
じいちゃんとばあちゃんの息子さんは、オレぐらいの年の時に死んじゃったらしい。だからふたりとも、オレを大事にしてくれる。
そうやって、毎日笑って暮らせたら、きっとすごく幸せなんだと思う。
でも――
「……ごめん」
オレは父ちゃんの仇を取らなくちゃならない。
別に父ちゃんが好きだったわけじゃないけど、オレぐらいは父ちゃんの死に腹を立ててやってもいいと思うんだ。
父ちゃんは、ジョッシュ・ワイルダーとかかいう流れ者に、殺されたんだから。
「せめてよう、クリスマスまでおりゃええに」
「……ごめん」
オレは頭が悪いから。そんなに長い間ここで優しくされたら、父ちゃんのことなんて忘れちゃうから。
明日の朝は、早く起きよう。じいちゃんとばあちゃんが寝ている間にここを出よう。
ジョッシュ・ワイルダーを探さなくちゃ。
……探さなくちゃ。
トウモロコシ、ちょっともらっていっても大丈夫かな。